新年のご挨拶

新年明けましておめでとうございます。皆様それぞれに充実した年末、年明けを迎えられたことと思います。私は、デンマークで伝統的かつ静かなクリスマスを過ごし、この国らしく花火と爆竹で騒がしい新年を迎えました。
2015年は、北欧にとって非常に興味深い、変革の一年でした。難民の欧州への流入、各国で見られた驚くべき規模の人道援助、そして…移民規制の強化。12月にデンマークで実施された国民投票では、今後の欧州との距離の維持と新たな協力体制の構築が問われる結果となりました。北欧に住んでいることで、日本では気付かされなかった陸続きの欧州のジレンマが、毎日の生活でも身近に感じられます。一方、分断されていくかに見える世界の各地では、新しい希望の芽も少なからず見られています。

身近なところでは、北欧と日本の関係が挙げられます。二国間関係は、例年以上に強固なものとなっていくでしょう。2015年は、デザイン博物館での日本展、ルイジアナ美術館でのKUSAMA展などの文化交流ばかりか、デンマーク地ビールバーや高級スーパーのイヤマの東京進出といった今後の展開が楽しみな文化的要素が高いビジネス交流の話題も出てきています。そう、コペンハーゲンに待ちに待ったラーメン屋も開店。新年は、1日から営業開始で、二日酔いとクリスマス疲れの胃に優しい、日本の味が提供されています。デンマークでの日本への関心や理解が広がっていることは、日本を母国とする我々にとっても嬉しい変化です。

北欧研究所に取っても大きな変革の年となりました。8月にはインターン生が8名加わり、プラス常勤4人体制で、今まで以上に多種多様な視点からの北欧情報や調査の提供が可能になっています。政治経済、文化芸術、社会、ファッション、IT、建築、教育、イノベーション、デザイン…。小国の集まる北欧ですが、そのGDP規模からは予測不能な、イノベティブな話題が目白押しです。

日本からは、北欧は独立独歩の幸せ社会という評価を得ています。私は、11年の北欧生活を経て、現在、本当に幸せに満ち溢れた社会というのは、コミュニティの住人が模索し努力を重ねた結果、初めて勝ち取れるのものだと考えるようになりました。私たち北欧研究所は、そんな北欧の模索した姿から学べることを伝達すること、そして、日本がよりよい幸せな国となるように、日本流の「幸せのかたち」を模索できるような幸せへのヒントを提供していきたいと思っています。

2016年も、北欧研究所(japanprdic)に変わらぬご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

北欧研究所代表 安岡美佳